いろぞね第三部

24日深夜3時近くにげんきに更新、みなさんこんばんは。
それでその、「いろぞね第三部」は、愛と感動(マジで)のラストなのですが、ほんとうはきのう更新するはずだったのが、M-1も見ずに忘年会に行っちゃったので更新できず、なんかこういかにもクリスマスに合わせてラブ☆ラブ☆ストーリー☆を展開するかんじになっちゃって、ああもう、すんげえイヤだなあ、1日ずらそうかなあ、って思ったんだけど、それはそれで超引っぱってるみたいだし、困って、もういいや、今日書く。
これを読んでいるみなさんにも愛が行きわたりますように☆(うぜえよ)


そんなわけで、フサコが起きて来ちゃってからは怒濤の下ネタ。
「わたしゃあフサコに会ったのは19で、フサコが16んときじゃったが、そんときはわたしはミヨちゃんが好きで、ミヨちゃんとここの上の部屋でキスばしよったとにミヨちゃんの口がラッキョウ臭くてダメじゃったたい!!」
「ミヨちゃんは去年死んだじゃろ。そんなん、言うな!!」
「パンツば半分おろしたとにダッキョウのニオイでダメたい!(爆笑)」
「言ーうーな!(ため息)」
いちのえさんがちょっと立ち上がろうとして後ろを向いたときに、おかあちゃんが突然「ブーッ」と漫画みたいに爆笑。
私「どうしたんですか?」
フサコ「ふ……ふとかケツッ……(爆笑)」
いちのえ「ひっ……ひっどぉ…(笑)」
フサコ「そんなふとかケツ久しぶりじゃ……(爆笑)」
フサコはいちのえさんのケツがなぜかツボだったらしく、しばらく失礼きわまりなく爆笑したあと「そんなにまぁるい、きれいなケツなかなか、なかとじゃ」と無理すぎるフォロー。しばらくケツネタで笑っていたら、アキフミがぼそりと「ケツ美人じゃ」
ケツ美人(全くうれしくない)に任命されたいちのえさんは、その後も集中攻撃に遭った。ポラロイド写真の目つきが変で、「朝青龍に似てる」と笑われたり。朝青龍だったり中学しぇいだったり、異名がつきすぎです。
朝青龍ネタで笑っていると、おかあちゃんは「アーーーーーッ、あたしはもうッ、相撲は大っ・・(タメ)・・嫌い!! あんなふとか体見たくなか。や、ケンジくんは別よ(ニヤリ)。相撲は沖縄の人しか知らん」という。沖縄出身…? あんまり有名な人はいないけど…。
「あの、わがままで休んじょる人ぞ」
まさか朝青龍のこと…?
で、その朝青龍に似ているいちのえさんの写真をあらためておかあちゃんに見せると、また爆笑。
「ブーッ! ほん・・(タメ)・・っとに似とる…。あさしおに」
「ちょっと!! 朝青龍もいやだけど朝潮はほんとにやめてよ!!!」
おかあちゃんの中では沖縄もモンゴルもいっしょだし、朝青龍も朝潮もいっしょたい。
セクハラもしっかりとありまして、いちのえさんは「ケツのふとかばってんおっぱいはこまか」、私は「いろぞねはさわるとこのなか」と言われました。ケンジくんに至っては、おかあちゃんに何度もボディタッチされていました。しかも急所をピンポイントで。
そんなこんなで、11時をこえて「もうさすがに寝るだろう……」と思いはじめたころ、話がたいへんな展開になった。
ふたりの方言がものすごくきついので、実はつながっている話でもわたしたちにとっては唐突に聞こえる。
孫のことは怒らん、それはわたしが父親からめったに怒られなかったからだ。でも、一度だけ怒られたことがある……というような話をアキフミがしているとき、不意に話がかわった。「牛のところでしちょったときに〜」
牛のところで、しちょった?
そのときその話を聞いていたいちのえさんは解釈にとまどったらしい。以下、方言はてきとーながら、ふんいきを味わってもらうためにできるだけアキフミの再現で語ります。
「上の方に畑があるたい、昔は牛がおって、うしろに鋤をつないじょって、それがこわれたたい。わたしとフサコが、ポカポカ陽気できもちようなったけん牛のところでしちょったばって、牛がこう(身ぶり)して興奮してもうて(笑)、その、上からガケば一気にかけおりちょったけん鋤のこわれよって父親におこられたたい。わたしらがこう(身ぶり)しちょったから牛にもそれがなんぞ伝わりよって、興奮してモーッちゅうて、かけだしよって(爆笑)」
しちょったってのは、あれですよー! あれです! 11時すぎてついに一線越えました! それも青空。
しかも、いままでアキフミのじまんばなしやら苦労話やらを「言うな!」「半分聞いとりゃよか」なんていってたおかあちゃんがここでどんな反応をしたかというと、なんとニコニコして聞いているのですよ!
「船でもしよったたい。ふたりでポルノ映画ば見て(すげーな)、それからどうしてもそうなるけん船(自己所有の漁船)に乗ってしとったら、エンジンかかってアンカ(錨)もおろしとらんけん、友だちがな、船流されとるちゅうて心配して見に来てもうてバレてもうて、いやあ、あんときははずかしかったあ(爆笑)」
あまりの展開、そしてこの話をまったく恥ずかしがらないおかあちゃん。このすさまじさにわたしたちはバカウケしていたら、アキフミはまだまだ調子に乗る。
「……ひゃくえんやったら注意じゃ」
また話の展開が読めない。次の朝も早いから寝なきゃと思ってたことなんか忘れて、一心に聞き入るわたしたち。
「釣りは朝と晩にせんとならんけんどうしても昼じゃないとやれんばって、子どもが帰ってきたらできんとじゃ、子どもに百円やってなんぞおつかいにやってその間にやっとじゃ(商店が遠いので、往復でかなりかかるらしい)、だから百円やったときは要注意じゃ」
アキフミとフサコ、やりまくりである。そりゃこの何にもない島ではたしかに娯楽と言えばソレでしょうが、ここまであっけらかんとされるとむしろ感動さえおぼえます。
「それで、百円やって子どももおらんちゅうてやっとったばって、そしたら!(爆笑)、郵便が来よったとじゃ! それでもうっ、こう(身ぶり)してズボンあげてどうにかして出たばって、片足にパンツがひっかかっちょったけんバレたじゃあ!」
69歳アキフミ、もう止まらない。
ほかにもエピソードてんこもりだったけど、爆笑だけじゃなく最後に感動が待っちょるとはおもわなかった。その、最後の話。
「……日付にマルがついちょって」
また話が新たな展開。この、ぜんぜん読めないかんじがもはや癖になる。
「ヤクルトのカレンダーの日付にマルとかサンカクとかついちょった」
「あるじゃろ、ヤクルトでもらうの」
フサコ、この話に積極的に加わってくる。
「フサコが日付にマルとかサンカクとかつけちょったばって、わたしは何のことか気にしちょらんばってん、5年気づかんやったと」
「ええときはマルー、いまいちだったらサンカクじゃ」
つまり、ですよ、フサコは、アキフミのその日のアレの良さを、こっそりカレンダーに○やら△で書いていたのです!! アキフミはその印を見つつもその意味に5年間気づかなかったが、何かをきっかけに気づいたらしい。
「それからは、もう、月に十は○にせねばちゅうて、こーう(ハチマキをしめる身ぶり)してがんばったとじゃ、二十日こえて七つやったらたいへんじゃ、月のおわりにがんばりすぎて月初めは釣り(本業)に力入らんぞ(笑)」
月に十! 毎日できるわけでもなかろうに。
「二月はたいへんじゃ」
なぜ?
「二十八しかなかろうが、ほかの月より三つも足らんけん、十○にするのは難儀ぞな」
こんな話をですね、アキフミが話すのはともかく、フサコがうれしそうに聞いているんですよ。アキフミ69、フサコ66。これはもはや爆笑だの下品だのを超えて、愛としかいいようがないです。
「また孫ができると難しか、おばあちゃんおじいちゃん言うて来ちょうようになると、昼にできん」
え! すぐとなりに住んでる孫、今いちばん大きい子でも15さいです。その孫がおばあちゃんおじいちゃんって来るのは10年も前ではなかろう。つまり、60こえてもヤクルトカレンダーの○つけは行われていた。しかも、フサコいわく、それは大事にずーっと取ってあるらしい。
「ボケたら困る、ボケてあれが見られるのはいやじゃ、だからボケる前にどうにかせねばいけんばってん、捨てるのもいやじゃけんね……」
ヤクルトカレンダーというものがなんだかよく分からない、などと言ってたら、アキフミが「今もあるじゃろ、フサコ持って来」という。まさか今も○が……と思ったけど、「いやーーーッ、もうアキフミもブタじゃけん、もーーーッ無理!」というフサコ。アキフミはニコニコしている。
フサコさんは今年のヤクルトカレンダーを持ってきてくれた。あー、これね、こういうの、うちの実家にもあったよ。と思っていたところ、ケンジくんが
「ちょっと! いま、○なかった!?」
あわてて隠すフサコ。
「いま、12/1のところに○見えたよ!?」
「いやじゃ、もう見せん」とニコニコしているフサコ。
もう時間は12時をとうに回りました。
「ま、わたしはフサコを愛しちょるけんね……」
酔いも回ってしみじみと言うアキフミに、
「ハーーーーッ、バッッッッッ・・・・カじゃ……」
と照れるフサコ。
まさかあの怒濤の下ネタのあとに、その流れのままこんな壮大でさわやかな感動話にたどりつくとは思わず、わたしたちはほんとうにしみじみ感じ入ってしまったのです。
愛し合うみなさまは、ぜひ、某島に渡って、牛のところでポカポカ陽気のなか楽しむのもいいんじゃないか、とこころからおもうのであります。
以上。