フロンティアスピリットについて(3)

取材旅行らしきものに行ってきたよ。超楽しかったよ。超楽しかったので、それは仕事に発揮しますのでここには書かないよ。こないだの話のつづきを書きますよ。
いままでのあらすじ〜シルクハットの男は、実は大泥棒だった! Q駅周辺で大捕物をくりひろげるわたしとカナちゃん。怪しい男を追ってたどり着いた先は、駅からほど近い古ビルだった……


というわけで、「Q駅徒歩1分」に実際に案内してもらうと、1分というのはさすがにサバ読みでした。実測で4分くらい。ただ、繁華街のど真ん中です。
あとから知ったのだが、Q駅にはちょっとマイナーな出口があって、そこから急ぎ足で行けば1分で着きそうな感じです。だから一応ウソではないようだ。でも、ふつうに使うメインの出口からなら4分かな。
築40年の4階建てビルの4階、エレベーターなし。おとなりは、休憩もできちゃう! でおなじみの、あー疲れたね〜たまたまホテルがあるからちょっと休んでいかない? でおなじみの、例の種のホテルです。ああそうね、すぐとなりに例の種のホテルがあるから安いのかもね。それでいて、すぐ近くには図書館があったりと、カオスきわまりない立地。
中は、6畳くらいの部屋+トイレ。4階で景色も抜けていて、北向きだけどすごく明るい。おお、いいんじゃない? 例のホテルも逆側だから、まったく気にならないよ(むしろ見えたっておもしろいと思うが)。ビルなのに、玄関が木の引き戸。この違和感はすごい。チャイムはどこにもない。
古い建物で問題となるのはブレーカーです。わたしはそんなに電力を使わないと思うが、なにぶん1フロアが同じブレーカーという可能性がある(このへんがいまいち確認できず)。うっかりわたしがたくさんつかったら、連帯責任(誤用)でほかの部屋が全部落ちちゃうかも知れません。あるいは、私がmacさんでお仕事などをしている最中にどっかの部屋が激しくドライヤーを使ったせいでバチンといっちゃうかもしれません。たいへんだー。ギャグマンガかよ。
ほかの部屋に住んでいるのは、なんとおばあちゃんだらけだという。長年住んでるらしい。Q町のどまんなか(例のホテルのとなり)の風呂なしビルに住み続けるおばあさまたち。いったいどんな人たちなのか気になってしょうがないです。
そして、そんな中で1件空いている404号室。31000円。
……もしかして、住んでたおばあちゃんが■くなったのか? 孤独■的なアレ?
だからこんなに安いの? まさかね。ねえ。


翌日、Q町に日参の勢いの私。ほかの物件も紹介してもらいつつも、やはり例のホテル隣のほうが気になる。ので、もう一度見せてもらう。
んー、じゃっかん狭いんだよな。とはいえ、この立地で31000円はもう出ないでしょう。コンセントの数(重要)もまあそれなり。トイレがちょっとくさいけど許す。
さて心配なのは、なんでこんなに安いかということです。
というか、もうちょっと突っこんで言うと、前に誰が住んでいたのかと言うことです。
というか、もうちょっと突っこんで言うと、前に住んでいた人がどのような経緯でここを離れたのかと
というか要はその、誰か自■したとかじゃねえよな。ってことが気になるじゃん。老人の孤独■(自然■)ならまだしも。
だって、風呂なしとはいえ、あのQ町ですよ。そっから歩いて4分(実測)ですよ。見晴らしいいし、6畳あるよ。それで3万ちょいって。風呂なし密集地帯のP町でもこの条件は見つからなかったのに。
っていうようなことを遠回しに遠回しに、「前にどんな人が住んでたんですかね〜」「なんでこんなに安いんでしょうね〜」と言ってたら、やっぱり不動産屋のおばさまも気づいた。そして、ちょっとだけいやな顔をして「そういうのは伝える義務がありますから、そういったことはありませんから」と強く言われたので、ま、だいじょうぶかな、と思いました。実際にどうかじゃないの。こういうのは気持ちの問題だから。いわゆる「事故」からひとり空けたら伝える義務がないってのも実は知ってたけど、これ以上深く問い詰めても、ねえ。安物件なのに、契約前にクレームつけまくりってのは、ねえ。
もうひとつ気になるのは、台所脇にある窓。廊下に面しているのでなんとなく開けにくい。
そこの窓について、不動産屋のおじさまがやけに「ガラスですからね……割られちゃいますからね……気をつけてもらって……、いや、人の出入りはないですけど……」と口にしていたのが妙に気になるのです。なんすか。過去になんかあったんすか。
さらにもうひとつ気になったのは、天井の謎の配線。
天井の北東隅に、1センチ四方くらいの穴が空いていて、そこからかなり古そうな線(電気機器の配線のような)が2本出ています。それに気づいてずっとたどっていくと、それはどうも天井の隅を一周しているらしい。そして北側の天井に1か所、白い粘土で配線が貼り付けられてる(埋め込まれてる?)ところがある(ああ、文字だと説明しづらい)。
なにこれー! 盗聴器? それにしては露骨すぎ。じゃあ何の配線?
もちろん気になったので、不動産屋に聞きました。
「ずっと昔からあります。前の人も気になったらしくて聞いてきましたけど、結局なんだかよく分かりませんが何の配線でもないようです。大家さんもよく分からないらしいです」
なんだそりゃーーーーぜんぜん解決しないじゃんよー。
で、前に住んでた人はどんな人かと聞くと、30くらいの女性会社員だったという。セカンドハウスじゃなくて、あくまでも住むところとして。えーー。おばあちゃんじゃないんだ。なぜ若い女性がここに? そのほうが興味ある。ふしぎです。
しかも彼女は、畳の上にフローリング調のシートを敷いていて、それは残置物として敷きっぱなしになっていました。それははがしたければはがしてもいいけど、敷いたまんまの方が畳に痕もつかないし、できればそのままにしていてほしい、と。それに、はがした下の畳がどうなってるかは保証できないし、はがした上でやっぱり畳汚いからやめますとか畳変えてくださいとかはナシですよ、と言われた。
これ、その場ではつい流しちゃったけど、今思うとあんまり筋が通ってないなあ、と思う。はがして確認する権利はありそうな気がする。ただ、私は気弱なうえ、こんな安くて不動産屋的に利益も薄い物件についてゴタゴタごねるのはどうも気が引けて、そのときは流してしまったのです。
いざはがしてみたら、畳の上に、人型に広がる赤黒い染みが!!!
ていうことになったらおもしろいよね。


超おもしろくないよ!!!


そしてこの話は契約するまでまだつづきます。なげぇよ。


しゃしん:まだまだ小樽の山なか市街地