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おすすめのゲーム

毎日毎日、夜になると行き詰まりばかり感じて私のみくしぃは泥まみれになっておるが、今日は会話が大事だなーということに気づいたよ。やっぱり会話しないとダメですね。ひとりで無言で仕事をしているといいことがないです。会話をするとちょっとひらけます。
休みの日、小泉さんと青梅に行きました。ここに住んだらどうだろうとか(現実性ゼロで)考えながら細路地を不審にうろうろしました。青梅は川があって山が見えて、いい。レトロを押し出してるのだけがいやだけど、天然の青梅はいい。
そこから青梅線で帰るところ、向かいの席にすわっている青年がチョコモナカジャンボを車内でモッソモッソ食べている。車内でモノを食うことについてはわたしはさほど迷惑だと感じないのですが、それはわたしが無法地帯の常磐線沿線で育ったからで、平日の常磐線の下りなんて酒とつまみのにおいでいっぱいで、あれで帰っている中年男性のほとんどは電車を居酒屋だとおもっているのです。そんな環境を見てきましたから、さほど混んでない車内でモッソモッソとチョコモナカジャンボを食うことに関しては、別になんとも思ってませんでした。30手前くらいの彼は全身をこぎれいにまとめていて、なかなかモテそうな感じでもありましたが、周りを気にせずチョコモナカジャンボを食っていました。
食い終わると、彼はその包装をくしゃくしゃとまるめて、どうするのかと思えば座席の下にほうった。
「捨てましたね……」「……最悪ですね。わたし、麻薬や覚醒剤をやる人よりポイ捨てする人のほうが重罪だと思ってます」「私もです!」
人見知りで派手なことを好まないのを共通項とする私と小泉さんでしたが、彼にゴミを拾わせたいという気持ちは私たちを行動に向かわせた。
まずは小泉さんが、彼と視線を合わせようと試みた。視線が合うたびに小泉さんは下に落ちた包装を見て、また視線を合わせて、包装を見て……。「さっきから何回も視線合ってるんですけど、拾いませんよ」
肝の据わった奴め。私も目を合わそうとしたが、私の位置からは斜めになるのでなかなか目が合わない。わたしはデジカメを取り出しました。「露骨に撮ってみます」
ほかの乗客には迷惑をかけたくないので、フラッシュはたかず、彼とどうにか視線を合わせようとしながら、足もとのゴミにピントを合わせて写真を撮りました。
それでも拾いません。しぶとい。
「私、降りるとき声かけるおばさんみたいな勇気がほしいです……。アンタ落とし物ですよ? って」「二人で指さしてみましょうか」「え! 降りるときに!?」「あの人が立ちあがったら、二人でいっしょにゴミを指さす感じで……」「あ、じゃあ私ためしにいま指さしてみます! 練習します」
わたしは無言で、チョコモナカジャンボの包装を指さしました。私としては、ビシッ! と音が鳴るくらいのつもりでしっかり指さしました。しかし彼は気づいてるのかどうなのか、違うほうを向いている。
そんなこんなで、青梅線は終点の立川に着いた。彼は途中で降りなかったので、ここで私たちといっしょに降りることに。ゴミはまだそのまま。さあどうする。
「あの人が拾わないようだったら、私たちで拾いましょうね」「そうですね……」
などと言いながら、私たちは何かに大敗したような気分でいました。徒労感。
私たちは彼よりも早く立ち上がって、しかし降りずに彼が立ち去るのを待った。乗客がみんな降りようとしてるのに、彼の少し前の変な位置に私たちが突っ立ってる状態になった。不自然。
すると、彼が立ち上がりざま、拾った!!
捨てたときはくしゃくしゃにまるめて席下の奥に投げ込んだから、ぜったいほったらかしていくつもりだったにちがいないアレを! 拾ったぞー!
どうやら彼もわたしたちの度重なる静かな圧迫を感じていたらしい。
「(小声で)わー! わー! 拾いましたよ! やったー!」「やったー!! ぜったい気づいてたんですよ、私たちの行動に」
『ゴミをポイ捨てした人に、無言で圧力をかけてゴミを拾わせるゲーム』おわり。おすすめです。楽しかったです。
※小泉さんと私はもう4年ほどのつきあいで、ふつうに二人で遊ぶ仲だというのにまだお互い敬語でしゃべっています。


しゃしん:ドロボーってカタカナで書くといちばん雰囲気出るね。これも三ノ輪。

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