夕張その2

宿を出て沼ノ沢駅まで歩きます。そこらじゅうにふきのとうがボカボカ生えてる。
早朝は天気がいいかと思ったけどそうでもなかった。曇ってきたし、雪こそふらないもののかなり寒い。
沼ノ沢駅に着くと同時にちょうど赤い車が来て、その中から昨日お茶したおーやまの奥さんが登場。「昨日はどうもー」とあいさつしながら登場。あまりのタイミングにびっくりです。ここに住んだら全員とお知り合いになれそうだね。
沼ノ沢駅の待合室には、昨日はいなかった汚い猫がいた。汚い猫は鳴き声も汚かったけど、ものすごく人なつっこいです。「寒いから誰かが中に入れてやったんでないの」とおばあちゃんふたりが話してました。
汚い猫は、わたしのひざにのっておなかをもみもみしたり、あまりにもくっついてくるもんだから私も情にほだされて、いけないこととは知りつつもなにか食べさせてやりたいと思った。思ったけど何も持ってなかったから何もやれなかった。
午前9時ころ、夕張行きの汽車が来ました。なぜか待合室のおばあちゃんたちは乗らない。なんだろうね。単に散歩の途中で休んでたんだべか。
夕張行きの汽車(もちろん1輌)には、私たちのほかに1人しか乗ってません。その1人も途中で下りました。私たちも、夕張駅の1つ前の鹿ノ谷というところで下りたので、汽車は夕張まで乗客ゼロになりました。たいへんですよこれは。バスも同じようなルートを走ってるようだし、廃線も時間の問題かも……。

鹿ノ谷の山側にある住宅群。炭鉱住宅? かわいいです。
鹿ノ谷には、夕張鹿鳴館と呼ばれる、かつて炭坑で栄えた頃の邸宅(?)があるようなんですけど、市の財政悪化とか、そこを持ってた会社が手を引いたりとかいろいろあって、今はなんと放置されている!! というところらしい。これは行ってみるしかないじゃないですか。
で、行ってみたんですが、意外ときれいでした。ほったらかされてからそんなに時間が経ってないみたいです。窓は全部木が打ちつけられて、いちおう保存は考えられているみたい。鹿鳴館というわりには外観は和風。渡り廊下がいくつもあって、広い建物です。
中庭のようなところに出ると遠くに反り橋が見えた。鹿(?)のフンが大量に転がる庭(というか空き地)をあるいてそっちに行ってみたものの、橋が落ちないという保証が全くないので橋を渡る勇気はありませんでした。橋の下は深い谷ですもの。橋の向こうにはなにがあったのだろう。
鹿鳴館の近くの、分譲地だけどほとんど家がないような変な区画のところに、かなり歴史のありそうな煉瓦づくりの建物がボロボロになって放置されている。ガラスも全部割れたまま。建物の説明などはなんにもなく、さりげなく民家のとなりにある。

あまりに寒いのでストールを頭に巻いている友だちと、いっしょに撮ってみました。「爆撃で焼かれた家を茫然と眺める中東の女性」
家々は、意外なほど新しい家が多いんです。ここ数年で建ったと思われるような新築がやけに目につきます。ちょっと不思議です。

そんな新築多めの街並みの中でも、いい雰囲気を出している裏通り。好きです。
街道沿いの商店に入ると、市指定のゴミ袋が5枚400円で売っていました。こういうところに厳しさを感じてしまいます。
同じ並びの、なんだか分からないけど伝統のありそうな廃墟をながめていると、道の向こうからおばさまに「空き家ですよー」と声をかけられました。
夕張の人は、わりと親しげに声をかけてくれる人が多いです。街は暗く見えるけど、人は明るい感じがします。ほんとに。
「もとは2階が洋裁学校と幼稚園で、それが出てっちゃってからどこかの会社が買い取ろうとしたんだけどけっきょくほったらかしてっちゃって、屋根から雪は落ちてくるし、危ないからどうにかしてほしいんだけど……」
廃墟が絵になるなんて思うのは部外者の楽天的な考えです。すみません。現実問題、住民にとっては危ないのです。雪でつぶれかねないもんね。
のんびり歩いてたら、ついに巨大な建物が現れた。これがターミナルの夕張駅か。と思いきや、そんなわけはなくて、その巨大な建物の前にあるトイレみたいなのが夕張駅なのでした。

泣けるほど小さい。終点なのに無人だし。遊園地ののりものの駅のようにも見える。
駅のトイレには「芳香剤を取っていかないでください〜予算がありません」という痛切な貼り紙があるし。もう。悲しいよ。夕張から芳香剤を取っていかないで!!! 夕張でそんなことするやつは極悪人だ!!!

ちなみに巨大な建物は、となりのスキー場用のホテルだと思う。たぶん。
今回で書き終える気でしたが、写真が多くなって長くなったのでまた後回し。べつに次回にオチとか衝撃的な展開とかはないので、すいません。

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